Deauratus(デュラタス)メーカーズディナー開催レポート

ワイン会・イベントレポート

2026年5月28日(木)大阪・天王寺のワインサロン スープルにて、カリフォルニアの新しいワインブランド
Deauratus(デュラタス)メーカーズディナーを開催しました。

いや、これはですね。

かなり良い会でした。

いや、もう少し正直に言います。

行けなかった方、これはちょっと悔しがってください。

それくらい、ワインも料理も、生産者のお話も、会場の空気も、すごく良かったんです。


まず、ゲストがすごいんです

今回お越しいただいたのは、

石窪俊星氏
そして、エリック・ボーハー氏

お二人は、カリフォルニアワイン好きなら反応せずにはいられない名門、
リッジ・ヴィンヤーズで長年経験を積まれたワインメーカーです。

そのお二人が、2023年に立ち上げた新しいワインブランド。

それが今回の主役、
Deauratus(デュラタス)です。

「新しいワインブランドです」

と聞くと、普通は
「へぇ、これから楽しみですね」
くらいで終わるかもしれません。

でもDeauratusは、ちょっと違います。

エリック氏は、ワインメーカーとして約30年。
石窪氏も、約20年にわたりワイン造りの現場で経験を積まれてきた方。

そのお二人が、キャリアを重ねたうえで、

「会社の予算や人員、いろいろな制約をいったん超えて、2人で本当に納得できるワインを造ったらどうなるのか」

というところから始めたブランドなんです。

これ、ワイン好きは弱いです。

かなり弱いです。


しがらみを超えて、本当に造りたいワインを造る

石窪氏のお話で印象的だったのは、Deauratusが生まれた背景です。

ワイン造りには、当然ですがお金も人も時間も必要です。
会社として造る以上、予算もありますし、いろいろな制約もあります。

でも、長年ワインメーカーとして走ってきたお二人が、ある時ふと考えたそうです。

「2人で、ただ本当に納得のいく最高のワインを造ったらどうなるのか」

そこから始まったのが、Deauratus。

しかも、ただ夢だけで造っているわけではありません。
経験もある。
技術もある。
畑を見る目もある。
そして、ものすごく真面目。

その真面目さが、ワインのあちこちに出ていました。


カリフォルニアワインなのに、ただ濃いだけじゃない

Deauratusのワインを語るうえで、当日何度も出てきた言葉があります。

それが、石灰岩土壌

カリフォルニアワインと聞くと、

濃い。
果実味がしっかり。
パワフル。
アルコール高め。

そんなイメージを持つ方も多いと思います。

もちろん、Deauratusにもカリフォルニアらしい果実味や力強さはあります。

でも、それだけではありません。

酸がある。
ミネラル感がある。
余韻がある。
そして何より、食事と一緒に飲んだときに、ちゃんと寄り添ってくれる。

これが本当に良かったです。

パワフルなのに、エレガント。
この言葉が、かなりしっくりきました。


料理は、中国菜 SHIN-PEI 中田シェフの特別コース

そして今回の料理は、靱本町の人気店 中国菜 SHIN-PEI 中田シェフの特別コース

これがまた、素晴らしかったんです。

カリフォルニアワインと中華料理。

一瞬、少し意外に聞こえるかもしれません。

でも、実際に合わせてみると……

めちゃくちゃ良い。

いわゆる、こってり重たい中華ではありません。
香り、酸味、旨味、発酵、スパイス。
それぞれの要素が、ワインにきれいに寄り添っていました。

中田シェフは、事前にDeauratusのワインを試飲し、そこから料理を組み立ててくださったそうです。

最初は「カリフォルニアワイン」という大きなイメージから入られたそうですが、実際に飲んでみると、エレガントさとパワフルさが同居しているワインだと感じられたとのこと。

その上で、ご自身の料理スタイルを活かしながら、できるだけワインに寄り添う形でコースを組み立ててくださいました。

これは、ただ料理を出すだけではありません。

ワインと料理が会話していました。

 


グルナッシュ・ブラン 2023

“白い皮を被った赤ワイン”って、もう飲みたくなるやつです

最初に登場した白ワインは、
グルナッシュ・ブラン 2023

石窪氏がこのワインを、
「白い皮を被った赤ワインのよう」
と表現されていました。

もう、この表現だけで飲みたくなります。

グルナッシュ・ブランは白ワインですが、軽やかなだけではありません。
しっかりとした厚みがあり、酸があり、石灰岩土壌由来のミネラル感もある。

白ワインなのに、どこか赤ワインのような構造を感じる。

そんなワインでした。

合わせた料理は、
明石のマダコの揚げ物 甘夏と葱のソース

甘夏の爽やかさ。
葱油の香り。
タコの旨味。

そこにグルナッシュ・ブランの酸とミネラル感。

最初のペアリングから、かなり良かったです。

「あ、今日の会は良い会になる」

と、最初の一皿で分かりました。


ワインに合うピータン、ありました

続いての前菜盛り合わせも、とても印象的でした。

ピータンの甘酢漬け、蒸し鶏のよだれ鶏ソース、特級クラゲ、ヤングコーン、ナスとプチトマト。

この中で、個人的に特に面白かったのがピータンです。

ピータンって、正直ワインに合わせるのは難しいイメージがあります。

でも、中田シェフはピータンを甘酢に漬けることで、発酵由来の香りをやわらげ、さらに梅干しと昆布を合わせたペーストを添えていました。

これが、ちゃんとワインに寄ってくるんです。

「ピータンって、ワインに合うんや」

という発見。

こういうことがあるから、ワイン会は面白いんです。

自分だけで飲んでいたら、なかなか出会わない組み合わせ。
でも、プロの料理人とワインメーカーがいると、こういう世界が開きます。


シャルドネ 2024

“最初はブドウを売ってもらえなかった”というドラマ

次に登場したのは、
シャルドネ 2024

このシャルドネの話が、また面白いんです。

石窪氏とエリック氏は、もともとこの畑のシャルドネを造りたいと思っていたそうです。
ところが、最初はブドウを分けてもらえなかった。

畑のオーナーからすると、どこの誰か分からない人に、大切なブドウを簡単には渡せないわけです。

そこでお二人は、先に造ったグルナッシュ・ブランを持って行きました。

「自分たちは、こういうワインを造れる」

という証明です。

それを飲んだ畑のオーナーが認めてくれて、シャルドネを分けてもらえることになったそうです。

こういう話、現場で聞くと本当に面白いです。

ワインリストには、ただ
「シャルドネ 2024」
としか書かれていません。

でも、その裏には、畑のオーナーとのやりとり、造り手の実力、信頼関係、そしてちょっとしたドラマがあります。

だからメーカーズディナーは面白いんです。


ラベルが剥がれない。コルクも妥協しない。

この日の話で、かなり印象に残ったのが、品質管理へのこだわりです。

Deauratusの白ワインのラベルには、特殊な加工がされています。
氷水に入れても、冷蔵庫に入れても、ラベルが剥がれにくいように工夫されているそうです。

さらにコルクも、1個ずつTCA、いわゆるブショネの原因物質を検査したものを使用。

通常よりもコストはかかるそうです。

でも、それでもやる。

なぜか。

最高のブドウを使い、最高のワインを造って、ようやくお客様の手元に届いたのに、最後にラベルが剥がれたり、コルクの問題で残念な思いをしてほしくないから。

ここまで責任を持つ。

これ、かなり大事な話です。

ワインは造って終わりではありません。
お客様がボトルを開けて、グラスに注ぎ、最後の一杯を飲み終えるところまでがワイン。

お二人は、そこまでを自分たちの責任として考えているのだと感じました。


ジンファンデル 2023

力強いのに、きれい

続いて登場したのは、
ジンファンデル 2023

ジンファンデルと聞くと、濃厚で、アルコール感があって、パワフルな赤ワインを想像される方も多いかもしれません。

でも、この日のジンファンデルは、それだけではありませんでした。

しっかりした果実味。
スパイス感。
でも、重すぎない。
タンニンも強引ではなく、丸みがある。

とてもきれいなジンファンデルでした。

ドライ・クリーク・ヴァレーの樹齢80年以上の古樹から造られているとのことで、ワインには凝縮感があります。

でも、ただ濃いだけではない。

石窪氏も、過度に抽出してタンニンを荒くしないよう、かなり優しく扱っているというお話をされていました。

合わせた料理は、
キノコと干貝柱の肉焼売 自家製XO醤乗せ
そして、
蒸し鮑 大根おろしとライムの甘酢ソース

旨味、香り、酸味、スパイス感。
そこにジンファンデルの丸みときれいさが重なります。

赤ワインと中華の組み合わせ、やっぱり面白いです。


カベルネ・ソーヴィニヨン 2023

パワフルなのに、やっぱりエレガント

カベルネ・ソーヴィニヨンは、パソ・ロブレスのアデレード・ディストリクトから。

パソ・ロブレスと聞くと、暖かい産地のイメージがあります。
ただ、2023年は冷涼な年だったため、ブドウが長く樹上で成熟できたとのこと。

その結果、色も深く、タンニンもありながら、質感はとても滑らか。

エリック氏は、タンニンの抽出についても丁寧に説明されていました。

強く絞りすぎない。
種由来の荒いタンニンを避ける。
優しく抽出する。
アメリカンオークで熟成し、タンニンをやわらかくまとめる。

その結果、カリフォルニアのカベルネらしい力強さはありながら、非常にシルキーで、食事にも合わせやすいワインになっています。

合わせた料理は、
アオリイカとホワイトアスパラ 雲丹と腐乳ソース炒め

腐乳は豆腐を発酵させた調味料で、チーズのようなコクと発酵由来のニュアンスがあります。
そこに雲丹とアオリイカ。

普通に考えると、なかなか攻めた組み合わせです。

でも、これがカベルネに合う。

ワインと料理が、お互いに遠慮せず、でも喧嘩もしない。

良いペアリングでした。


そして、メニューにないワインが出てきました

この日、会場が一番ざわっとした瞬間がありました。

メニューに載っていないワインが登場したんです。

Deauratus シラー/グルナッシュ 2024

まだ日本で正式に販売されていない、特別なプレビューとして用意された1本です。

これは、ワイン好きに刺さります。

「メニューにない」
「まだ正式リリース前」
「特別に」
「プレビュー」

はい、全部好きです。

このワインは、シラーとグルナッシュを別々に造って後から混ぜるのではなく、収穫したブドウを一緒に発酵させる共同発酵で造られています。

エリック氏は、
1+1が2ではなく、3になるようなワイン
と表現されていました。

これもまた、良い表現です。

シラーの深さ。
グルナッシュの明るい果実味。
若さはありながら、すでにバランスがあり、これからどう変化していくのか楽しみになるワインでした。

こういう1本に出会えるのは、メーカーズディナーならではです。


黒毛和牛、毛蟹、杏仁豆腐まで

後半の料理も、素晴らしい内容でした。

メインは、
黒毛和牛の五香風味 豆豉と牛蒡のソース

和牛を五香粉と紹興酒でマリネし、香ばしく揚げ、豆豉と牛蒡のソースで仕上げた一皿。
しかもソースには、Deauratusの赤ワインも使用。

これは、聞くだけでおいしいです。

そして締めには、
毛蟹の胡麻風味涼麺

毛蟹の殻から取った出汁と味噌、胡麻を合わせた冷麺。
ここに、先ほどのシラー/グルナッシュがまた合う。

最後は、
杏仁豆腐

豆乳と牛乳を使った杏仁豆腐に、ハッサクとパイナップルのグラニテ。

重くなりすぎず、最後まで気持ちよく終わるコースでした。


ワインメーカーとの距離が近い夜

今回の会で何より印象的だったのは、ワインメーカーとの距離の近さです。

石窪氏もエリック氏も、各テーブルを回りながら、お客様と直接お話しされていました。

質問をする方。
感想を伝える方。
写真を撮る方。
ボトルにサインをもらう方。

会場全体が、だんだんひとつの大きなテーブルのような空気になっていきました。

石窪氏は最後に、

今後どこかでDeauratusのワインを見かけたときに、「あいつらのワインだ」と思い出してもらえたら嬉しい

というお話をされていました。

これ、すごく良かったです。

ワインは、産地や品種、点数、価格で選ぶこともできます。
もちろん、それも大事です。

でも、一度本人に会って、話を聞いて、同じ空間でグラスを傾けると、そのワインはただの商品ではなくなります。

「あの時のワイン」
「あの人たちのワイン」

になります。

今回ご参加いただいた皆さまにとって、Deauratusがそんな存在になっていたら嬉しいです。


“行っておけばよかった”と思う会でした

今回のDeauratusメーカーズディナーは、ただワインを飲むだけの会ではありませんでした。

造り手本人から話を聞き、
その場で質問ができ、
料理と一緒にワインの表情を楽しみ、
まだ始まったばかりのブランドの“今”に立ち会える。

これは、あとから振り返ったときに、
「あの時行っておいてよかった」
と思えるタイプのイベントです。

そして、行けなかった方にとっては、
「それ、行きたかったやつやん」
となるタイプのイベントです。

Deauratusは、まだ2023年に始まったばかりのブランドです。

でも今回の一夜を通して、
このワインはこれからもっと多くの人に知られていくのではないか、
という期待を強く感じました。

次回、Deauratusのイベントが開催される機会があれば、ぜひ早めにチェックしてください。

ワイン好きの未来の自慢話は、こういう夜から始まります。


ご参加ありがとうございました

ご参加いただいた皆さま、
石窪俊星氏、
エリック・ボーハー氏、
中国菜 SHIN-PEI 中田シェフ、
そして関係者の皆さま、誠にありがとうございました。

ワインサロン スープル/ワインストア ワッシーズでは、今後も生産者来日イベント、メーカーズディナー、ワインパーティー、ワインセミナーなどを開催してまいります。

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カリフォルニアワインや中華とワインのペアリングに興味のある方は、ぜひ今後のイベントもチェックしてください。

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