10月の北新地。
「鮨さわだ」のカウンターに、フランス・エペルネの名門メゾン『ドゥ・ヴノージュ(Champagne de Venoge)』のCEOジル・ドゥ・ラ・バスティエール氏が登場しました。
そして向かい合うのは、中華の世界でミシュランの星を掴み新たに「鮨」というフィールドに挑む料理人・澤田州平シェフ。
異なるジャンル、異なる文化。
しかしこの夜、二人の感性がひとつに重なった瞬間カウンターの空気がふっと変わりました。
一夜限りの“即興のマリアージュ”
提供されたのは、ドゥ・ヴノージュを代表する5種のシャンパーニュ。
ただ順番にサーブするだけではなく、当初の予定からコース内容を見て「3rdエディション」と「ロゼ」を即座に入れ替え。
澤田シェフの皿の流れと温度感を見て、ワインの表情を最大限に引き出す構成に変更されました。
料理とワインが互いを引き立て合う、まさに“ライブ感”あふれるペアリング。
プロフェッショナル同士の信頼と感性が生んだ、一期一会のマリアージュです。
火と鮮が響き合う、澤田シェフの世界
前半は中華のエッセンスを感じさせる温菜や前肴から始まり、泡のエレガンスが料理の香りを優しく引き立てていきます。
続く鮨では、ひとつひとつの握りに合わせてシャンパーニュの表情が変わり、グラスを傾けるたびに空気が柔らかくほどけていきました。
そしてコースの締めには、なんと“フカヒレ”
鮨の余韻を包み込むような温かさと旨味、そこに合わせたシャンパーニュの繊細な酸が見事に寄り添い、
会場全体が静かに感嘆の息を漏らしました。
デザートには、手塚山の「POIRE(ポアール)」さんから、焼きたてのフィナンシェが絶妙なタイミングで届きます。
香ばしいバターの香りが店内を包み、まるでコース全体を優しく締めくくる“甘い余韻”のようでした。
泡と酢飯、海の香りが重なり合うその瞬間、多くのゲストが「シャンパーニュと鮨の相性って、こんなに美しいのか」と驚きを隠せませんでした。
ドゥ・ヴノージュの哲学が生きる5つのキュヴェ
Cordon Bleu Brut NV
メゾンの象徴。青いリボンは栄誉の印。爽やかな柑橘と繊細な泡が、会の幕開けを華やかに飾りました。
Cordon Bleu Rosé NV
ストロベリーやピンクグレープフルーツを思わせるチャーミングな香り。
中華の香りを引き立てるフルーティさが絶妙。
Prince de Venoge 3rd Edition Brut
オランダ王室に捧げるキュヴェ。熟成感とリザーヴの厚みが後半の鮨と見事に調和。
ワインの奥行きが、料理に深みをもたらしました。
Blanc de Blancs Grand Cru
グラン・クリュ100%のシャルドネが生み出すピュアな酸とミネラル。
白い花や柑橘の香りが澤田シェフの鮨を優しく包み込みます。
Louis XV 1996
ドゥ・ヴノージュが誇るプレステージ・キュヴェ。
熟成の深みと透明感が共存する、まるで時を味わうような一杯。
静かな感動とともに、この夜を締めくくるにふさわしい存在でした。
澤田シェフが語った「シャンパーニュの呼吸」
ディナーの終盤、澤田シェフがグラスを見つめながら、
「このシャンパーニュ、料理と一緒に呼吸しているようだ」と微笑まれました。
その言葉のとおり、澤田シェフはこの夜に提供されたドゥ・ヴノージュを自身でご購入。
「本当に気に入った」と語るその表情には、料理人としての真摯さと、ワインへの深い敬意が滲んでいました。
メゾンの哲学と、シェフの美学。
それぞれの情熱が交わり、ひとつの“物語”を生み出した夜でした。
グラスの向こうに見えたもの
「シャンパーニュは特別な日のためのものではなく、“今という瞬間”を祝うためのもの。」
ジル氏の言葉を胸に、ゲストたちは泡の一筋一筋を見つめながら、今ここにしかない時間を楽しんでいました。
最後はジル氏の「ブラボー!」の声とともに拍手が広がり、泡が静かに消える音さえも、まるで余韻のように美しく残りました。
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💡こんなワイン会に行ってみたい と思わせる夜が、
北新地の小さなカウンターで静かに生まれました。